男の子「ベテランのヘルパーさんや看護師さんを前に、自分が仕切るなんておこがましい……」



「もし厳しい質問をされたらどうしよう……」
新人ケアマネジャーにとって、サービス担当者会議は最大の難所の一つですよね。
人前で話すのに慣れていないと、最初は緊張して、なかなかうまくいかないものです。
しかし、安心してください。会議の目的は「立派な演説」をすることではありません。
本記事のゴール
「上手く話す」ことを捨て、多職種と協力して「円滑に会議を終わらせる」ための具体的な技術を習得しましょう。
1. なぜ新人ケアマネは「サービス担当者会議」が怖いのか?


| 段階 | 主な流れ | ケアマネの役割 |
|---|---|---|
| 準備段階 | ・利用者・家族の意向確認 ・診療情報や各事業所からの報告書、アセスメントシート、モニタリングシートの準備と分析 | ・家族・事業所などの日程調整 ・仮の介護サービス計画書の作成 |
| 会議当日 | ・利用者の状況確認・課題の共有 ・支援方法の検討・ケアプラン方向 性の決定 | ・司会進行 ・参加者の意見交換と契約など |
| 会議後 | ・ケアプラン作成 ・定期的なモニタリングと必要に応じた再会議 | ・介護サービス計画書の作成 ・モニタリング ・適宜サービス内容の見直し |
新人ケアマネが感じるプレッシャーの正体は、「自分がチームのリーダーとして全員をコントロールしなければならない」という思い込みです。
まずは視点を切り替えましょう。
- 視点の転換: あなたは「審判」でも「上司」でもありません。
- 役割の再定義: あなたは情報を繋ぐ「ハブ(中継地点)」です。
良くも悪くも中継地点であり、それぞれの専門職つなぐ橋渡し役です。
専門職はそれぞれ自分の領域のプロです。あなたは彼らが力を発揮しやすい場を整えるだけで、会議は自然と回り始めます。
なんとなく、雰囲気を作ってあげればみんな話し始めます。
そうなればこっちのものです。ただし、そこまで持っていくのに、準備やセリフなど用意しておくことが肝心です。
慣れれば自然と出来るようになります。それまでは準備を怠らずやっていきましょう。
わたしも最初は準備、頑張りました😣
2. 準備が9割!会議を成功させる「ステルス下準備」3つのポイント
会議の成否は、当日の司会テクニックよりも「事前の仕込み」で決まります。
① キーマンへの「事前根回し」で味方を作る
特に影響力の強い訪問看護師やデイサービスの生活相談員には、日程調整などの段階で、
「当日は〇〇さんの独居生活継続について重点的に話し合いたいので、アドバイスをお願いします」と伝えておくだけで、相互理解が深まりフォロワーになってくれます。
② プラン原案の事前送付は「確認」のため
ケアプラン原案は必ず事前に送付します。(忙しいときなどは当日になることもあります。)
当日に初めて見せるのではなく、「事前に見ていただいた内容で大丈夫ですよね?」という最終確認の場にすることが、時短とスムーズな進行のコツです。
③ 「座席・環境・資料」で心の余裕を作る
| 項目 | 注意ポイント |
|---|---|
| 座席配置 | ご本人の正面にケアマネが座り、圧迫感を与えない配置にする。 |
| 環境整備 | 高齢者の自宅では空調に配慮。不快感は議論を停滞させます。 |
| 資料の予備 | 家族・担当者分+「予備2部」を持つことで心の余裕が生まれます。 |
3. 【実践】サービス担当者会議の進行台本と司会セリフ例
スムーズな進行のための「型」を用意しました。そのまま現場で使ってみてください。
ステップ1:導入(5分)
まずは、今日の会議で「何を決めるか」を明確にします。
その後に自己紹介の順番です。
また、余裕や雰囲気が合っていれば、家族から普段の生活や要望なども話してもらいましょう。
1.司会セリフ:
「本日はお集まりいただきありがとうございます。本日のゴールは『夜間の転倒不安をどう解消するか』という一点に絞って話し合いたいと思います。」2.自己紹介と参加者紹介:
「まずは私から自己紹介させていただきます。本日の進行を担当するケアマネの△△です。では順番に、自己紹介をお願いします。」
3.利用者・家族からの発言
「それでは、〇〇さんやご家族から、普段の生活で感じていることや希望をお聞かせください。」
ステップ2:現状分析(アセスメント)
専門用語(ADL、IADLなど)は極力避け、ご本人の日常が目に浮かぶ言葉を使いましょう。
- ×ダメな例: 「ADLが低下しています」
- 〇良い例: 「最近、トイレまで歩くのに手すりがないとふらつく場面が増えています」
ステップ3:専門職への問いかけ
単に「報告をお願いします」と言うと、現状報告だけで終わってしまいます。
司会セリフ例:
「次に、主治医の先生からお話をお願いします。その後、訪問介護・デイサービス・リハビリと順
にご意見をいただければと思います。」
「ヘルパーさんの視点から、家事の中でリハビリに繋がりそうな動作はありますか?」
ステップ4:方向性の確認と合意形成・閉会
最後は「やりっぱなし」を防ぐ一言で締めます。
司会セリフ例:
1.支援内容の検討と方向性の確認
「皆さまのご意見を踏まえて、今後の支援の方向性を整理します。まずはケアプランの目標について合意をいただきたいと思います。」
2.決定事項の確認と役割分担
「本日の会議で決定した内容を確認いたします。訪問介護については△△事業所が担当、デイサービスは□□事業所が継続、リハビリは週2回で調整ということでよろしいでしょうか。」
「〇〇様、今お話しした内容で進めてよろしいでしょうか?……ありがとうございます。次回の会議は〇月〇日頃を予定しています。議事録は3日以内にお送りします。」
このような流れと意識していれば、初めてでもセリフの順番通りに進めていくことが出来るのではないでしょうか?
4. 多職種を味方につける!職種別「神」質問リスト
専門職の知見を引き出すには、質問の仕方を工夫しましょう。
- リハビリ職へ: 「家でこれを継続するには、どんな工夫が必要ですか?」
- 看護師へ: 「医療的なリスクを、生活の中で見守る際のサインはありますか?」
- ヘルパーへ: 「一番近くで見ていて、最近の表情やご様子に変化はありますか?」
5. 【トラブル対応】困ったシーンの切り抜け方
| 困ったシーン | 切り抜け方のコツ |
|---|---|
| 意見が食い違ったとき | 「ご本人の意向(どう暮らしたいか)」を中心に据えて立ち返る。 |
| 話が止まらない人がいる | 「〇〇さんの熱意は伝わりました。他の方の視点も一度伺いましょう」と遮る。 |
| 誰も発言しない(沈黙) | 「〇〇さん、今の点については問題なさそうでしょうか?」と名指しで聞く。 |
6.効率的な議事録のまとめ方・ポイント
議事録作成の基本は、「誰が・何を・どのように決定したのか」を明確に記録することである。
会議内容を逐一文字起こしする必要はなく、以下の3点を押さえることが重要である。
- 利用者の現状
- 参加者の主な発言
- 最終的な合意事項
会議中は要点を簡潔にメモし、終了後すぐに整理することで、記憶が新しいうちに効率よく議事録を作成できる。
文体は「です・ます調」ではなく「である調」を用いることで、文章が簡潔になり、全体の可読性も向上する。
また、参加者の同意が得られる場合は、録音を行うことで記録の正確性を高めることができる。
サービス担当者会議の議事録(記入例)
議事録は「サービス担当者会議の要点」の書式に従い、以下の4項目に分けて整理する。
- 検討した項目
- 検討内容
- 結論
- 残された課題
| 項目 | 記入例 |
| 検討した項目 | ①日常生活における身体機能の低下への対応 ②介護負担の軽減方法 ③通所サービス利用回数の調整 |
| 検討内容 | ①下肢筋力低下が見られるため、リハビリの継続が望ましいとの意見。リハビリ担当者からは、転倒予防のために歩行訓練と筋力維持プログラムを提案。 ②家族からは、調理や入浴介助の負担が大きいとの要望があり、訪問介護の回数について意見交換。訪問介護事業所からは週1回の追加訪問が可能との事。 ③デイサービス事業所からは、週2回から週3回への利用の増回が可能との事。ただし送迎時間については事前調整が必要。 |
| 結論 | ①転倒予防のため、歩行補助具の利用も検討を開始する。 ②訪問介護は週2回から週3回に増回する。 ③デイサービスは週2回から週3回へ増やし、機能訓練を強化する。 |
| 残された課題 | ・福祉用具の具体的な種類と導入時期については、次回会議で検討する。 ・送迎時間の詳細調整をデイサービス事業所と家族で行い、決定後にケアマネへ報告する。 ・次回会議は〇月〇日に開催予定。 |
議事録作成のコツ
検討した項目には番号を付けることで、「検討内容」「結論」との対応関係が明確になり、確認しやすくなる。
また、「残された課題」は次回会議やサービス調整に直結する重要な情報であるため、具体的かつ漏れのないよう記載する。
7. 【タイミング別】新規・更新・区分変更での会議の重点ポイント
サービス担当者会議は、プランのタイミングによって「話し合うべき核心」が異なります。以下の表を参考に、今回の会議の主眼を定めましょう。
| 種類 | 開催タイミング | 会議で最も重視すべきこと |
|---|---|---|
| 新規 | 初めてサービスを開始する時 | 目標の共有と役割分担。 「誰が何を補い、どう生活を支えるか」を一致させる。 |
| 更新 | 認定有効期間の更新時 | 変化の確認と評価。 前期の結果を踏まえ「継続か変更か」を多職種で判断する。 |
| 区分変更 | 状態が著しく変化した時 | 課題の再設定。 急激なADL低下や認知症状に対し、緊急で必要な対策を合意する。 |
8. 全員が集まれない時は?「照会」による開催のルール
「どうしてもキーマンの都合がつかない」「感染症対策で集まれない」という場合、例外的に「照会(意見照会回答票)」で会議に代えることが可能です。
照会で済ませるための3つの条件
- やむを得ない事情がある(担当者の急病、遠方、日程調整不能など)
- すでにサービス内容について個別に十分な調整ができている
- 照会回答票を適切に回収し、内容をプランに反映させている
※ただし、「新規・区分変更」時は原則として対面(またはオンライン)での開催が強く推奨されます。実地指導でもチェックされるポイントなので、安易に照会だけで済ませないよう注意しましょう。
9. 現場の悩み解決!サービス担当者会議Q&A
新人ケアマネジャーからよく寄せられる質問をまとめました。
Q1:家族が仕事でどうしても欠席する場合は?
A:事前または事後に個別訪問し、同意を得れば開催可能です。
会議当日は「ご家族からは事前に〇〇というご意向を伺っています」と代弁し、会議の内容は後日必ずフィードバックしましょう。
Q2:本人が認知症で、会議の内容を理解できない場合は?
A:理解が難しくても、原則として「本人の参加」が基本です。
たとえ議論の詳細が分からなくても、「皆で〇〇さんを支えますよ」という姿勢を見せることで安心感につながります。状態が不安定で本人の負担が大きい場合のみ、短時間の参加にするなどの配慮を検討してください。
Q3:担当者が「忙しいから」と欠席ばかり。どうすれば?
A:個別に「〇〇さんの専門的な意見がどうしても必要です」と頼りましょう。
単なる「会議への出席依頼」ではなく、「あなたの専門性が必要だ」というメッセージを伝えることで、優先順位を上げてもらえる可能性が高まります。
Q4:サービス担当者会議の時間はどのくらいかかりますか?
A:概ね30~60分程度で行うのが一般的です。 長くなりすぎると集中力も切れ、話が脱線することもあるため、適度に時間調整をしましょう。また、利用者や家族の負担にもなりかねません。目的を共有し、スムーズな会議を実施することもケアマネの役割です。
Q5:会議の準備では、具体的に何をすればよいですか?
A:まず、利用者さんやご家族と面談して現状の課題や希望を整理します。 次に、参加者の日程を調整し、会議の開催を案内します。
- 事前に各事業所から意見を聞いておく(照会)
- 当日の議題をまとめた資料を作成しておく これらを行うことで、当日の進行がスムーズになります。
Q6:会議当日の司会進行で気をつけることは何ですか?
A:目的と時間配分の共有、そして役割の明確化です。 参加者全員が平等に発言できるよう気を配り、話が脱線しないように調整します。最後に、**「誰が・いつまでに・何をするか」**という各担当者の役割分担を明確に確認することが重要です。
Q7:サービス担当者会議の議事録(第4表)は、なぜ必要ですか?
A:決定事項を正式な記録として残し、関係者全員で共有するためです。 誰が、いつ、どのような内容で合意したのかを明確にすることで、その後の支援がスムーズに進みます。また、これが適切なケアマネジメントを行っているという**「ケアプランの根拠(エビデンス)」**にもなります。
10. まとめ:100点ではなく「60点の継続」で信頼は作れる
ケアマネジャーの仕事は、一度の会議で完璧な結果を出すことではありません。
大切なのは、「このケアマネさんは、私たちの話をよく聞いて場を作ってくれる」という信頼関係を築くことです。
最初は60点を目指しましょう。回数を重ねるごとに、あなたなりの「回し方」が必ず見つかります。
他にもアセスメントが苦手だなと思う方はこちらも参考にしてみて下さい。




