ケアプラン作成において、多くのケアマネジャーが最も頭を抱える1つが「目標設定(第2表)」です。
- 「長期目標と短期目標の違いが曖昧で、いつも似たような文章になる」
- 「実地指導(運営指導)で『具体性がない』と指摘された」
- 「本人の意向をどう目標に落とし込めばいいか分からない」
実地指導の現場では、「目標が抽象的」「支援者目線になっている」という指摘が非常に多く見られます。
特に「~を図る」「~に努める」といった表現は、本人の目標ではなく「支援者の努力目標」とみなされ、
修正対象になりやすい実務上のトラップです。
この記事では、現場でそのまま使える「目標設定のテンプレ」や「状態別例文」を徹底解説します。
この記事を読めば、質の高いケアプランが安定して作れるようになります。
1. ケアプラン第2表の目標設定とは?長期目標と短期目標の違い
ケアプランの目標は「長期」と「短期」で役割が明確に異なります。ここがズレると、プラン全体の整合性が崩れてしまいます。
長期目標:解決すべき課題の「最終ゴール」
利用者や家族が「最終的にどのような状態になりたいか」を示すビジョンです。
- 期間: 半年〜1年(認定期間に合わせるのが基本)
- 視点: 課題が解決し、本人の希望が叶った状態
短期目標:ゴールまでの「具体的ステップ」
長期目標を達成するための、「今やるべき具体的な行動」です。
- 期間: 3ヶ月〜半年程度
- 視点: 達成可能で、モニタリング時に客観的に評価しやすい内容
【プロのアドバイス】
目標設定に迷う場合は、アセスメントの整理が不十分なケースが多いです。本人の「できないこと(欠乏)」だけでなく、「できること(ストレングス)」から逆算して考えましょう。

2. 【要注意】実地指導で指摘される「NG目標」と改善案
よくある「ダメな書き方」を知ることで、修正リスクを回避できます。
NG表現と改善のポイント
| ダメな例(NG) | 問題点 | 改善後の例(OK) |
|---|---|---|
| ADLの維持を図る | 支援者目線で抽象的。「図る」はNG。 | 介助を受けながら、トイレまで歩いて移動できる。 |
| 転倒に注意する | 注意するのは周囲。本人の動作ではない。 | 歩行器を使用し、屋内を転倒なく移動できる。 |
| 安全に生活する | 判定基準が曖昧すぎる。 | 薬の飲み忘れがなく、血圧が安定して過ごせる。 |
一次情報:現場あるある
実地指導では、語尾が「~を図る」「~に努める」となっていると、「それはケアマネやヘルパーの目標ですよね?」と厳しくツッコミが入ることがあります。主語は常に「利用者本人」で固定しましょう。
3. 【コピペOK】ケアプラン目標の「テンプレ」
「言葉が出てこない…」という時は、以下の型(テンプレート)に当てはめてみてください。
長期目標のテンプレ
[期間] までに、[具体的な動作・状態] ができるようになり、[本人の意向・楽しみ] を実現する。
〇〇までに、〇〇が出来るようになり、〇〇を実現している。
今後1年を通じて、日常生活に必要な動作を維持・向上させることで、本人が望む活動への参加や趣味を継続できている。
短期目標のテンプレ
- [期間] までに、[補助具・介助] を用いて [動作] ができる。
- [期間] までに、[サービス内容] を通じて [頻度・回数] に取り組む。
〇〇までに、〇〇を用いて、〇〇ができる。
半年後を目安に、介護サービスの利用を通じて、決められた頻度での活動やリハビリに継続して取り組んでいる。
4. 【状態別】そのまま使える!ケアプラン目標例文集
各ケースの「生活課題」に合わせた具体的な書き方です。
歩行・移動(ADL向上)
足腰の筋力低下によって外出する機会が減り、さらなる身体機能の低下を招く悪循環が生じている。
1年後を目途に、シルバーカーを安全に操作することで、近隣の店舗まで自力で買い物に出かけることができている。
3ヶ月後までに、手すりなどの支持物を利用して安定した立ち上がり動作を行い、そのまま1分程度の立位を保持できる。
3ヶ月後までに、通所介護での機能訓練に週2回ペースで前向きに取り組み、運動習慣が定着している。
認知症(不安・不眠・BPSD)
強い不安感から夜間の徘徊症状が見られ、同居する家族の睡眠が阻害されるなど介護負担が深刻化している。
夜間に十分な睡眠を確保できることで心身が安定し、家族とともに穏やかな在宅生活を継続できている。
3ヶ月後までに、日中の活動量を増やすことで生活リズムを整え、21時以降にスムーズに就寝する習慣が身についている。
3ヶ月後までに、就寝前の確実なトイレ誘導を実施することで、夜間の覚醒回数が減少している。
社会参加・孤立防止
他者との交流が途絶えて意欲が著しく低下しており、適切な自己管理が困難になるセルフネグレクトの兆候が見られる。
趣味の活動や他者との関わりを通じて生活の中に役割を見出し、住み慣れた自宅で自分らしい暮らしを営んでいる。
3ヶ月後までに、週1回の通所介護を利用し、他の利用者やスタッフとの円滑なコミュニケーションを笑顔で楽しんでいる。
3ヶ月後までに、訪問介護員と協力して食事の準備を行い、1日3回の規則正しい食事を継続して摂取できている。
5. 第3表(サービス内容)との連動を最終チェック!
目標だけが具体的でも、「第3表(サービス内容)」と矛盾していると実地指導で必ず指摘されます。
- リハビリ目標があるなら、通所リハや訪問リハが位置付けられているか?
- 清潔保持の目標があるなら、訪問介護やデイでの入浴が適切に入っているか?
- 服薬管理の目標があるなら、訪問看護や薬剤師の介入を検討したか?
「課題(ニーズ)→ 目標(第2表)→ 援助内容(第3表)」が一本の線で繋がっていることを確認しましょう。
6. 実地指導(運営指導)対策チェックリスト
最後に、作成したプランが監査基準をクリアしているか確認してください。
- 主語の確認: 目標の主語はすべて「利用者本人」になっているか?
- 期間の整合性: 短期目標の期間が長期目標の期間を超えていないか?
- 具体的・客観的か: 第三者が「達成・未達成」を明確に判定できる表現か?
- 意向の反映: 第1表の「本人の希望」が長期目標に繋がっているか?
まとめ:質の高いケアプランは「適切な目標」から
ケアプランの目標設定は、利用者の「希望」を言語化する作業です。
- 長期目標は「理想のゴール」
- 短期目標は「具体的なステップ」
- NG表現(~を図る、~に努める)を徹底して避ける
この3点を意識するだけで、実地指導でも高く評価されるケアプランが安定して作れるようになります。
まずは例文をベースに、目の前の利用者様に合わせた言葉にカスタマイズしてみてください。
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