ケアプラン第2表「意向」の書き方文例集|個別性を出し実地指導もクリアする具体化の極意

「本人希望:現状維持」
「家族希望:介護負担の軽減」

ケアプラン(第2表)を作成する際、ついついこんな「教科書通りの言葉」を並べていませんか?
確かに間違いではありませんが、これでは「その人らしさ」が見えてきません。

ケアプランはその方の人生の物語です。意向欄が具体的であればあるほど、サービス担当者にも「なぜこの支援が必要か」が真っ直ぐ伝わり、チーム全体の動きが変わります。

この記事の結論
個別性の高い「意向」を書くコツは、抽象的な言葉を「具体的な動作・場面・感情」に置き換えることです。
本記事では、新米ケアマネジャーでも今日から使える文例と、実地指導で評価される書き方のテクニックを徹底解説します。


目次

なぜ「本人希望:現状維持」ではダメなのか?意向の具体性が重要な理由

ケアプランの第2表における「意向」は、すべてのサービスの「根拠(スタート地点)」になります。ここが曖昧だと、その後に続く「ニーズ」や「目標」もぼやけてしまいます。

ケアプランは「人生の物語」の設計図

例えば、リハビリの目的が「歩けるようになること」だけだと、本人のモチベーションは続きません。「また自分の足で近所のコンビニへ大好きな大福を買いに行きたい」と書くことで、本人も支援者もワクワクするような「物語」が始まります。

共通のゴールが「サービスの質」を左右する

意向が具体的だと、ヘルパーさんやデイの職員さんが「何を目指してお世話をするか」という共通のゴールを持てます。

  • 抽象的: 「安全に過ごしたい」
  • 具体的: 「夜中のトイレが不安なので、転ばずに一人で行けるようになりたい」
    このように書くだけで、福祉用具の選定や夜間の見守り体制の組み方が明確になります。

【実践】本人の意向を深掘りする「具体化」書き換え文例集

「〜したい」という言葉の裏にある、本当の気持ちを汲み取ってみましょう。以下の比較表を参考にしてください。

1. 「自立」や「現状維持」を自分らしい言葉に変える

よくある定型句個別性を出した書き換え文例
自立した生活を送りたい住み慣れたこの家で、最期まで自分らしく自由に暮らしたい。
現状を維持したい以前のように庭いじりはできなくても、縁側から花を眺める生活を守りたい。
迷惑をかけたくない子供たちに負担をかけず、できることは自分の力でこなし続けたい。

2. 「動作」の先にある目的を捉える

よくある定型句個別性を出した書き換え文例
歩けるようになりたい孫の結婚式に参列するため、支えがあれば30mは歩けるようになりたい。
お風呂に入りたいデイの大きな風呂ではなく、自宅の慣れたお風呂でゆっくり温まりたい。
外出したい月に一度は馴染みの喫茶店へ行き、友人とコーヒーを飲みながらお喋りしたい。

3. 本人が「別にない」と言った時の引き出し術

本人が「特にないよ」「お任せするよ」と言ったときは、過去の趣味や、今毎日欠かさずやっている習慣に注目してみてください。

  • 新聞を読む習慣: 「活字を読むことが楽しみなので、目が不自由になっても情報を得る手段を持ちたい」
  • 特定のテレビ番組: 「19時のニュースを見るのが日課。その時間は邪魔されずにゆっくり過ごしたい」
  • こだわり: 「身だしなみには気を配りたい。週に一度はデイで綺麗に髪を整えてもらいたい」

これがその方の立派な「意向」の種になります。


家族の意向を書き分けるコツ|「本音」と「負担」を言語化する

家族の意向は「本音(辛い、休みたい)」と「建前(最後まで看たい)」の間で揺れ動くものです。ケアマネジャーは、その背景にある「生活の困りごと」を代弁する役割があります。

1. 介護負担の軽減を望む場合(レスパイトの根拠)

単に「負担軽減」と書かず、「何が」「どう」負担なのかを具体化します。

  • 「共働きのため日中の独居時間が長く、火の不始末や転倒の不安を解消してほしい」
  • 「夜間の排泄介助により介護者が深刻な睡眠不足に陥っているため、休息の時間を確保したい」
  • 「認知症による周辺症状(徘徊)への対応に限界を感じており、安全な預け先を確保したい」

2. 本人の意思を尊重したい場合

家族の愛情や葛藤を文章に盛り込みます。

  • 「父の『最期まで家で過ごしたい』という強い思いを、家族としてできる限り尊重し支えたい」
  • 「以前のように会話は成立しないが、穏やかな表情で過ごせる時間を少しでも長く持ちたい」

ケアプラン第2表へ落とし込む「魔法の3ステップ」

意向を文章にする際は、以下の手順で整理すると迷いません。

  1. 「」で本人の生の言葉をメモする
    (例:「もう一度、自分の手で料理を作りたいんだよ」)
  2. その言葉の「背景・理由」を考える
    (例:料理を作って家族に喜んでもらうことが、本人の長年の生きがいだった)
  3. ケアプラン用の文章に整える
    (例:「台所に立ち、簡単な調理を行うことで、家族の中での役割を持ち続け、自分らしく過ごしたい」)


    実地指導対策!「意向・ニーズ・目標」の整合性を整える

    実地指導で最も厳しくチェックされるのは、「第2表の上から下までの繋がり(一貫性)」です。

    • [ ] 意向: 本人・家族の具体的な願いが書かれているか?
    • [ ] 解決すべき課題(ニーズ): 意向を叶えるための「壁」は何か?
    • [ ] 長期目標: 意向が叶った状態(理想の姿)になっているか?
    • [ ] 短期目標: 長期目標へ向かうための「スモールステップ」か?
    • [ ] サービス内容: その目標を達成するために必要不可欠なサービスか?

      例えば、「意向」に「家でお風呂に入りたい」とあるのに、「サービス内容」が「デイサービスでの入浴」だけになっていると、整合性がないと判断される可能性があります。その場合は「自宅での入浴動作訓練」などのニーズを繋げる必要があります。


      【Q&A】意向の書き方でよくある悩みと解決策

      Q. 本人と家族の意向が食い違っている場合は?

      A. 両方の意向を並記しましょう。「本人は自宅継続を強く希望しているが、家族は介護負担の限界から施設入所も視野に入れたいと考えている」と事実を記載します。その上で、ケアマネとしてどう調整していくかを「援助方針(第1表)」や「支援経過(第5表)」で補足します。

      Q. 認知症で本人の意思確認が難しい場合は?

      A. 過去の生活歴や、現在の表情・行動から推察される「潜在的な意向」を記載します。「言葉での表出は難しいが、音楽を聴くと穏やかな表情になるため、潤いのある生活を継続したいと推察される」といった表現を用います。


      まとめ:意向はケアマネジメントを動かす「エンジン」である

      個別性の高いケアプランは、きれいな文章である必要はありません。
      その方の「これがあるから頑張れる」「これだけは譲れない」というポイントが、一行でも入っているかどうかが重要です。

      今回のポイント

      • 抽象的な言葉(自立、現状維持)を、具体的な場面(コンビニへ行く、庭を眺める)に置き換える。
      • 本人の「過去の習慣」や「好きなもの」からヒントを得る。
      • 家族の言葉には、背景にある「生活の困りごと」を添える。

      「意向」がしっかり決まれば、その後のケアマネジメントは驚くほどスムーズに進みます。まずは次回の訪問で、利用者様の「大好物」や「昔の自慢話」を聞くことから始めてみませんか?


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      • [アセスメントで「本音」を引き出す質問の技術(オープンクエスチョン)]
      • [実地指導で指摘されない!ケアプランの整合性をチェックするポイント]
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